2020年4月17日 BBC News

アメリカのドナルド・トランプ大統領は16日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて制限している経済活動について、今後数カ月間で再開するためのガイドラインを発表した。この内容を基に、各州知事の判断で段階的に緩和を進めていくという。

トランプ大統領はこの日の定例会見で、「(新型ウイルスとの)戦いにおける次のステップは、アメリカを再び開くことだ」と宣言した。

「アメリカは経済の再開を望んでいる。そしてアメリカ国民も経済の再開を望んでいる。(中略)米全土の封鎖は、持続可能な長期的解決策ではない」
「アメリカを再開する」(Opening up America Again)ためのガイドラインでは、各州が徐々にロックダウン(都市封鎖)を緩和できるよう、3段階に分けた指針が示されている。

トランプ氏は、連邦政府の支援を受けつつ、各州知事の判断で経済再開プロセスを進めていけると約束した。また、一部の州は、今月中にも経済活動を再開できると示唆した。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、日本時間17日午前の時点で、アメリカで確認された感染者は67万人超。3万3000人以上が死亡している。

ガイドラインの内容
米政権が発表した18ページに及ぶガイダンスによると、州の経済活動の再開プロセスは3段階に分かれており、各段階の実施期間は最低で14日間という。

また、一部地域は最短で1カ月間の評価期間を経て、通常に戻り始める可能性があるとしている。

一方で、感染者数が多い地域や、増加し始めている地域は、経済再開までさらに時間がかかる可能性がある。

第1段階では、不可欠ではない移動を避け、集団で集まらないようにするなど、現行のロックダウンの内容の多くが含まれる。レストラン、礼拝所、スポーツ施設などの大規模施設については、「人と人の距離を開ける厳格な対策の下で営業できる」という。

新型ウイルスの流行再発の根拠がない場合、第2段階にうつる。不可欠ではない移動が許可され、学校も再開できる。バーは人数を制限すれば営業できるという。

第3段階では、感染症状や感染者数が減少傾向にある州の場合、物理的に人同士の距離を保つことを条件に「公共の場での交流」が認められる。職場での人員制限も行わない。介護施設や病院への訪問も再開され、バーも入店人数を増やせるという。


トランプ大統領は、ロックダウンの長期化で公衆衛生上の深刻な損害を生む危険性があると指摘。薬物乱用やアルコール乱用、心臓病やそのほかの「肉体的・精神的」問題が「急増」していると警告した。

また、健康な市民は「条件が許す限り」仕事に復帰できるだろうと、記者団に述べた。市民には「社会的距離」戦略の継続のほか、具合が悪い場合は自宅にとどまることが求められるという。

トランプ氏は、米経済の再開は「慎重に1歩ずつ」行っていくとしつつ、各州知事に対し、「自分たちが何をしたいのかに応じて、非常に、非常に迅速に」動くよう求めた。

トランプ氏は各州知事に対し、「自分自身で決定することになる」、「自分で進めていくことになる。我々はあなた方を助けていく」と述べた。

「我々はあなた方のすぐ側にいる。我々はこの国を開き、経済を動かしていく。国民は働くことを望んでいる」
ここ数日間、トランプ氏は規制緩和や事業の再開時期をめぐり、州知事と議論を続けてきた。トランプ氏は、自分の権限をガイドラインを提示することにとどめることで譲歩した。

ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策を率いるマイク・ペンス副大統領は15日、米国内の郡の24%では感染の報告がないと明らかにした。また、全50州のうち半数では、感染者数は2500人以下にとどまっていると付け加えた。

新型ウイルス対策の調整官、デボラ・バークス医師は16日の定例会見で、各州が3段階の指針を経て進めていく中で、より多くの従業員を徐々に仕事に復帰させることができると述べた。

第3段階は「新たな日常」を意味し、高齢者や障害・病気のある人などは混雑した場所を避けるのが望ましいとされる。それ以外の人は集会を再開できるが、物理的な距離は保つ必要があると、バークス医師は付け加えた。

バークス氏はジムを例に挙げ、「厳格な社会的距離戦略を順守するなら」営業を再開できるとした。

経済活動再開の時期は
トランプ政権はこれまで、5月1日に経済活動を再開できる可能性があるとしていたが、トランプ氏は15日、一部の州はそれよりも早い段階で平常時に戻れるかもしれないと述べた。

しかし、一部の保健の専門家や州知事は、あまりにも早い段階での経済活動の再開に警鐘を鳴らしている。

米政府の新型コロナウイルス対策を主導しているアンソニー・ファウチ博士は14日、APニュースに対し、社会的距離戦略を緩和する前に厳しいウイルス検査や感染経路の追跡システムが必要だとし、米国内の多くの場所では、5月1日の再開は「少し楽観的すぎる」と述べた。

州知事の反応
米国内のアウトブレイク(大流行)の中心となっているニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は16日、同州は5月15日まで在宅命令を継続すると述べた。

同州当局は、今週は感染状況に安定の兆しが見られるとしているが、1日あたりの死者数は依然として数百人に上っている。

ミシガン、オハイオ、ウィスコンシン、ミネソタ、イリノイ、インディアナ、ケンタッキーの各州知事は16日の声明で、連携して経済活動を再開すると発表した。

「各州の経済は互いに依存し合て成り立っている。勤勉な人々が職場に戻り、事業が立ち直れるよう、私たちは連携して、経済活動を安全に再開しなければならない」と知事たちは合同声明を出した。

今回発表されたガイドラインでは、経済再開への具体的な日程は示されていない。しかし知事たちは、経済分野ごとの段階的な再開を計画していると述べた。

新型ウイルスで1700人以上が死亡しているミシガン州では、グレッチェン・ウィットマー州知事が9日、在宅指示を今月末まで延長すると発表した。この決定に反対する労働者は15日、州都ランシングの州議会周辺に車で集結し、州内の経済活動を再開するよう訴えた。

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