新型コロナウイルスの治療への効果が期待されているレムデシビル(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 新型コロナウイルス感染症の治療薬として、抗ウイルス薬「レムデシビル」が7日、承認されました。通常であれば、医薬品の承認申請から実際に承認されるまでには1年程度を要するとされていますが、今回は医薬品医療機器法の「特例承認」と呼ばれる制度を使って、申請からわずか3日というスピード承認となりました。この特例承認とはいったいどのような制度なのでしょうか。

通常の承認は

 通常、1つの薬が市販されるまでには、▽薬の候補となる化合物を作ってその可能性を調べたりする「基礎研究」▽ウサギやネズミなどの動物で安全性を調べる「非臨床研究」▽ヒトへの効果や安全性を調べる「治験」――の段階を経ます。製薬会社は各段階で出てきた資料などを付けて、厚生労働省に承認申請を行いますが、ここまでに数年~10年単位でかかる場合もあります。

 承認申請後、実際の審査は独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(PMDA)が提出資料などを基に行います。そして、審査結果は医学や薬学の専門家などからなる薬事・食品衛生審議会にはかられます。審議会が問題なしと判断すれば、厚生労働相が医薬品を承認するというのが一般的な流れです。承認申請から承認までの期間は一般的に1年程度となっています。

「レムデシビル」異例のスピード承認 医薬品の「特例承認」とは?

特例承認の条件

厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館本館(写真:西村尚己/アフロ)

 これに対し、特例承認は、「医薬品医療機器等法」に定められた制度で、治験の結果以外の資料の提出を猶予して、早期に医薬品を承認しようというしくみです。

 ただし、特例承認が認められるには次の条件を満たす必要があります。

 (1)国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病が広がるのを防ぐために緊急に使用されることが必要な医薬品で、当該医薬品の使用以外に適当な方法がないこと。

 (2)その用途に関し、日本と同等の水準の承認制度を持つ外国で販売などが認められた医薬品であること。

 これまでに新型インフルエンザのワクチン2品目に適用された実績があり、今回認められれば3例目となります。

 なお、通常であれば承認申請時に必要であるはずの提出を猶予された資料については、承認された後、厚生労働省が決めた時期までに提出することになっています。

レムデシビルは条件を満たすか

 レムデシビルはアメリカに本社がある製薬大手「ギリアド・サイエンシズ」がエボラ出血熱の治療薬として開発を進めてきた医薬品で、今月1日に米食品医薬品局(FDA)が緊急使用を認めました。厚生労働省医薬品審査管理課は、これによりで上記の(2)の条件はをひとまず満たしたとしています。ことになります。

 また、同厚生労働省医薬品審査管理課によると、二重盲検試験(医師も患者もどんな薬を投与するのか分からないわからない状態で行う治験方法)で有意な差がついているのは現時点ではレムデシビルだけで、(1)の条件も満たすとしています。

 こうした状況を受け、ギリアド・サイエンシズの日本法人は今月4日、厚生労働省にレムデシビルの承認を申請。治験のデータなどをPMDAが詳しく調べており、7日に開かれた厚労省の薬事・食品衛生審議会での審査を経て、正式に承認されました。

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